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確定申告との境界

年末調整と確定申告は、いずれも所得税の精算手続きだが、対象範囲と処理主体が異なる。年末調整のシステムを設計するにあたり、「何を年末調整で処理し、何を確定申告に委ねるか」の境界を明確にする。


年末調整の範囲

年末調整は 給与所得に対する所得税の精算 を、給与の支払者(会社) が行う手続き。以下の範囲に限定される:

  • 給与所得のみを対象(給与以外の所得は考慮しない)
  • 年末調整で申告可能な13種類の所得控除 + 所得金額調整控除 + 住宅借入金等特別控除
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出した甲欄適用者のみ

年末調整の対象者 を参照


年末調整の対象外となるケース

以下に該当する場合、年末調整は行わず 確定申告 で精算する。

ケース根拠
給与の総額が 2,000万円超所得税法190条
乙欄適用者(扶養控除等申告書が未提出)主たる給与でないため
災害減免法 の適用を受けた人徴収猶予・還付済み
年の中途で退職(特定ケースを除く)年間の所得が確定しないため
非居住者所得税法190条は居住者が対象

年末調整の対象外であっても、支払者は 源泉徴収票(未済) を発行する義務がある。


年末調整で処理できない控除

所得控除16種類のうち、以下の3種類は年末調整では処理できず、確定申告が必要。

控除名理由備考
雑損控除災害・盗難等の損失額の個別算定が必要災害減免法との選択適用
医療費控除年間の医療費集計・領収書確認が必要セルフメディケーション税制も確定申告
寄附金控除寄附先の適格性確認が必要ふるさと納税ワンストップ特例は住民税のみの制度で確定申告不要

→ 各控除の概要・計算方法・従業員への案内ガイダンスは 年末調整対象外の控除 を参照

控除 を参照


年末調整後に確定申告で修正するケース

年末調整が正常に完了した後でも、以下の場合は従業員本人が 確定申告 を行う必要がある。

追加の控除を受ける場合

  • 医療費控除、寄附金控除、雑損控除を受けたい場合
  • 年末調整で申告し忘れた控除がある場合(確定申告で追加可能)

給与以外の所得がある場合

  • 副業・不動産・株式等の所得がある場合
  • 給与以外の所得が 20万円超 の場合は確定申告義務あり(所得税法121条)
  • 20万円以下でも住民税の申告は必要

年末調整の内容に誤りがあった場合

  • 年末調整の期限(翌年1月31日)内 → 再年調(支払者が修正)
  • 期限後 → 従業員本人が 確定申告 で修正

再年調 を参照

2か所以上から給与を受けている場合

  • 主たる給与(甲欄)の支払者で年末調整を受ける
  • 従たる給与(乙欄)分は年末調整の対象外
  • 給与の合計が一定額を超える場合は確定申告義務あり

複数給与支払者と乙欄適用 を参照


TASHIKAにおける設計上の意味

年末調整システムとして、確定申告との境界を意識すべき点:

  • スコープ外の控除を案内する: 医療費控除・寄附金控除・雑損控除は処理しないが、「確定申告が必要」であることを従業員に案内できると親切
  • 対象外の従業員を正しく除外する: 2,000万円超・乙欄適用者等を判定し、年末調整の対象外として源泉徴収票(未済)を出力する
  • 確定申告への情報提供: 年末調整の結果(源泉徴収票)が確定申告の入力データとなるため、正確な源泉徴収票の作成が重要