外国人従業員の年末調整
外国人従業員本人に関する税法上の特有事項を整理する。非居住者親族の扱いは → 非居住者親族 を参照。
居住者・非居住者の判定(従業員本人)
外国人従業員本人が居住者か非居住者かにより、年末調整の対象かどうかが決まる。判定基準の詳細は → 非居住者親族 § 居住者・非居住者の定義と判定 を参照。
判定のポイント(外国人従業員の場合)
外国人従業員の場合、以下の点が日本人従業員と異なる:
| 判定要素 | 内容 |
|---|---|
| 住所の推定(非居住者方向) | 外国国籍を有し、国内に生計を一にする配偶者等がいない等の場合、国内に住所を有しないと推定される(所得税法施行令第15条) |
| 入国直後の判定 | 1年以上の契約で来日 → 入国時から居住者。1年未満の契約 → 居住者要件を満たすまで非居住者 |
| 在留資格の変更 | 在留資格の変更自体は居住者判定に直接影響しないが、滞在予定期間の変更は判定に影響しうる |
在留資格と居住者判定の関係
在留資格(出入国管理及び難民認定法)と税法上の居住者判定(所得税法)は別の法律に基づく別の概念であり、直接の連動はない。ただし、在留資格から滞在の予定期間を推測できるため、実務上の参考情報となる。
| 在留資格の類型 | 典型的な滞在期間 | 居住者判定の傾向 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 1年〜5年 | 通常は居住者(1年以上の契約が前提) |
| 企業内転勤 | 1年〜5年 | 通常は居住者 |
| 技能実習 | 1年〜5年(号による) | 1年超の滞在予定なら居住者 |
| 特定技能 | 1年〜5年 | 通常は居住者 |
| 短期滞在 | 90日以内 | 非居住者 |
| 高度専門職 | 5年(無期限の場合あり) | 居住者 |
| 留学 | 在学期間 | 1年超の滞在予定なら居住者 |
| 永住者 | 無期限 | 居住者 |
注意: 在留資格の在留期間は最長期間であり、実際の滞在予定とは異なる場合がある。居住者判定は実際の滞在予定に基づいて行う。
租税条約に基づく免税
外国人従業員の出身国と日本との間に租税条約がある場合、源泉所得税の免除を受けられることがある。
→ 詳細は 租税条約に基づく免税 を参照
年末調整実務への影響
- 租税条約届出書(様式7・8・9)が税務署に提出済みであることを確認する
- 免税対象の給与は年末調整の対象から除外する
- 免税期間と課税期間が年内で混在する場合、課税期間分のみ年末調整を実施する
- 免税が全期間に及ぶ場合、年末調整は不要(ただし源泉徴収票は発行する)
外国人従業員の年末調整実務上の注意点
扶養控除等申告書の提出
- 外国人従業員であっても、居住者であれば扶養控除等申告書を提出でき、甲欄適用・年末調整の対象となる
- 非居住者は年末調整の対象外(→ 年末調整の対象者)
マイナンバーの取扱い
- 中長期在留者にはマイナンバーが付与される(住民登録が前提)
- 短期滞在者にはマイナンバーが付与されない場合がある
- マイナンバーが付与されていない場合でも、源泉徴収票の作成義務はある
→ マイナンバー を参照
非居住者親族の控除
外国人従業員の本国に居住する配偶者・親族について控除を受ける場合、親族関係書類・送金関係書類の提出が必要。
→ 非居住者親族 を参照
出国(帰国)時の処理
外国人従業員が退職して帰国する場合(非居住者となる場合):
- 出国前に年末調整を行う義務がある(→ 出国時年末調整)
- 非居住者となった後は年末調整の対象外
- 出国後に日本国内で所得税に関する手続が必要な場合、納税管理人を選任する(→ 出国時年末調整 § 納税管理人の選任)
年の中途の居住者判定の変更
- 1年未満の予定で入国 → 滞在が1年以上に延長された場合: 延長が明らかになった日以後、居住者に変更(遡及なし)
- 居住者として勤務 → 1年以上の予定で出国する場合: 出国時から非居住者に変更
- 判定変更の前後で年末調整の取扱いが異なる(居住者期間のみ年末調整の対象)
言語・コミュニケーション上の考慮
- 申告書・案内文書の多言語対応が実務上求められることがある
- 税務署提出用の申告書自体は日本語の様式を使用する(法定様式に外国語版はない)
- TASHIKAにおいては、UIの多言語対応として検討の余地がある(→ 要件定義で判断)