源泉徴収簿
正式名称: 給与所得・退職所得に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収簿。給与等の支払者が従業員ごとに作成・保存する法定帳簿であり、毎月の源泉徴収税額の記録と年末調整の計算過程を一元的に記録する。
法定調書(源泉徴収票等)とは異なり、税務署への提出義務はない。ただし、所得税法第231条に基づき作成が義務付けられており、国税通則法第70条に基づき7年間の保存義務がある。
出典:
源泉徴収簿と源泉徴収票の関係
源泉徴収簿は年末調整の 計算過程 を記録する帳簿であり、源泉徴収票 は年末調整の 最終結果 を記載する法定調書である。源泉徴収簿の計算結果が源泉徴収票に転記される。
| 観点 | 源泉徴収簿 | 源泉徴収票 |
|---|---|---|
| 性質 | 法定帳簿(社内保存) | 法定調書(税務署提出・本人交付) |
| 内容 | 月次の給与・賞与・源泉徴収税額 + 年末調整の計算過程 | 年間の集計結果と各種控除の内訳 |
| 粒度 | 月次(各月の支給額・税額を個別に記録) | 年次(年間合計のみ) |
| 法的根拠 | 所得税法第231条 | 所得税法第226条 |
構成
源泉徴収簿は大きく3つのパートで構成される。
月別の源泉徴収記録
毎月の給与・賞与の支給時に記録する。
| 欄 | 記載内容 |
|---|---|
| 支給月日 | 給与・賞与の支給年月日 |
| 総支給金額 | 給与等の総支給額 |
| 社会保険料等の控除額 | 健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料等 |
| 社会保険料等控除後の給与等の金額 | 総支給金額 − 社会保険料等 |
| 扶養親族等の数 | 税額表適用のための人数 |
| 算出税額 | 月額表・賞与に対する税額表による税額 |
| 差引徴収税額 | 実際に徴収する税額(前月分の過不足調整後) |
年末調整の計算欄
年末調整時に使用する。各種控除の計算と年税額の算出過程を記録する。
| 欄 | 記載内容 |
|---|---|
| 給与・手当等の年間合計 | ①〜⑫月の合計 + 賞与の合計 |
| 給与所得控除後の給与等の金額 | 年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表から求める |
| 所得控除額の合計 | 配偶者控除・扶養控除・保険料控除・基礎控除等の合計 |
| 差引課税給与所得金額 | 給与所得控除後の金額 − 所得控除額の合計(千円未満切捨て) |
| 算出所得税額 | 年税額表による税額 |
| 住宅借入金等特別控除額 | 該当者のみ |
| 年調所得税額 | 算出所得税額 − 住宅借入金等特別控除額(百円未満切捨て) |
| 年調年税額 | 年調所得税額 × 102.1%(復興特別所得税加算) |
| 差引超過額又は不足額 | 年調年税額 − 徴収済税額の合計 |
過不足税額の精算欄
年末調整の結果算出された過不足額の精算過程を記録する。
| 欄 | 記載内容 |
|---|---|
| 超過額 | 年間の徴収済税額が年調年税額を超える場合の還付額 |
| 不足額 | 年調年税額が徴収済税額を超える場合の追加徴収額 |
| 本年最後の給与から充当・徴収する金額 | 12月給与での精算額 |
| 翌月以降に繰り越す金額 | 12月で精算しきれない場合の繰越額 |
中途就職者の取り扱い
年の中途で就職した従業員について、前職の給与等がある場合は前職分を通算して年末調整を行う。源泉徴収簿には前職の支払金額・源泉徴収税額・社会保険料を記載する。
税制改正による様式変更
源泉徴収簿の様式は税制改正に伴い変更されることがある。
- 令和7年分: 「特定親族特別控除額」欄が未設置のため、余白に欄を作成して対応(経過措置)。令和8年分から正式に欄が追加される予定