令和9年以後
令和9年分(2027年)以降に見込まれる変更の概要。 R7改正法の附則に基づく予定と、R8年度税制改正大綱で示された事項を整理する。
基礎控除の加算額縮小
R8・R9の2段階テーブル(+42万/+5万)からR10以後は1段階のみに縮小。
R8・R9(R8大綱による)
| 合計所得金額 | 加算額 | 控除額(本則62万円+加算額) |
|---|---|---|
| 489万円以下 | +42万円 | 104万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | +5万円 | 67万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | なし | 62万円 |
R10以後(R7改正法附則ベース)
| 合計所得金額 | 加算額 | 控除額(本則62万円+加算額) |
|---|---|---|
| 132万円以下 | +37万円 | 99万円 |
| 132万円超〜2,350万円以下 | なし | 62万円 |
| 2,350万円超〜2,400万円以下 | — | 48万円 |
| 2,400万円超〜2,450万円以下 | — | 32万円 |
| 2,450万円超〜2,500万円以下 | — | 16万円 |
| 2,500万円超 | — | 0円 |
注意: R10以後の控除額はR8大綱の本則引上げ(62万円)を前提とした値。R7改正法時点では本則58万円を前提としていたため、当時の見通し(最大95万円)とは異なる。今後の税制改正でさらに変更される可能性がある。
→ 基礎控除の改正経緯は 令和8年施行予定 参照
ひとり親控除の引上げ
| 改正前 | 改正後(R9分〜) | |
|---|---|---|
| 所得税のひとり親控除額 | 35万円 | 38万円 |
適用時期: R9分以後の所得税。
住民税のひとり親控除額は30万円→33万円に引上げ(R10年度分以後の個人住民税から適用)。
合計所得金額要件の引上げ(施行時期未定)
とりわけ困難な境遇に置かれているひとり親の自立支援を進める観点 から、 対象となるひとり親の合計所得金額の要件について、現行の 500万円以下を1,000万円以下に引き上げる ことが予定されている(施行時期未定)。
→ 現行制度は ひとり親控除 参照
防衛特別所得税(仮称)の創設
概要
所得税の納税義務者は、基準所得税額につき防衛特別所得税を納める義務を負う。 復興特別所得税と同様の仕組みで、源泉徴収義務者は源泉徴収に係る所得税の額につき防衛特別所得税を徴収・納付する。
税率
基準所得税額 × 1%
課税期間
令和9年以後の当分の間
復興特別所得税との関係
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 復興特別所得税率 | 2.1% | 1.1% |
| 復興特別所得税の課税期間 | 令和19年まで | 令和29年まで(10年延長) |
| 防衛特別所得税率 | — | 1.0% |
| 合計付加税率 | 2.1% | 2.1%(1.1% + 1.0%) |
合計の付加税率は2.1%で変わらないため、給与所得者の手取りへの影響はない。 ただし、システム上は復興特別所得税と防衛特別所得税を別々に計算・表示する必要がある可能性がある。
年末調整・源泉徴収への影響
- 申告、納付等、源泉徴収等は復興特別所得税と同様
- 年税額計算パイプラインに防衛特別所得税の計算ステップが追加される可能性
- 源泉徴収票の様式変更が見込まれる
→ 年税額計算パイプラインは 年税額計算 参照
増減収見込額
| 項目 | R9年度 | 平年度 |
|---|---|---|
| 防衛特別所得税の創設 | 2,630億円 | 2,560億円 |
| 復興特別所得税の税率引下げ | ▲380億円 | ▲2,560億円 |
極めて高い水準の所得に対する負担適正化措置の見直し
高所得者に対する追加課税(ミニマムタックス)の対象拡大・税率引上げ。
| 改正前 | 改正後(R9分〜) | |
|---|---|---|
| 基準所得金額の閾値 | 3億3,000万円超 | 1億6,500万円超 |
| 税率 | 22.5% | 30% |
適用時期: R9分以後の所得税。
注意: 年末調整の対象者は合計所得金額2,000万円以下であるため、年末調整では直接の計算対象にはならない。ただし、ドメイン知識として把握しておく。
源泉徴収票の提出方法の改正
令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票について、給与等の支払者が所定事項を記載した給与支払報告書を市区町村に提出した場合、税務署への源泉徴収票の提出とみなすこととされた。
これにより、将来的に税務署への別途提出が不要になる可能性がある。
→ 源泉徴収票全体は 源泉徴収票 参照
e-Tax等による提出義務基準の引下げ
前々年の提出枚数 30枚以上 で e-Tax等による提出が義務化される(現行は100枚以上)。
退職所得の特別徴収票の電子化
個人住民税における退職所得の特別徴収票について、eLTAXによる簡便な提出方法が整備される。
適用時期: R8年1月1日以後に支払うべき退職所得の特別徴収票から。
公的年金等控除の見直し
給与等の収入金額と公的年金等の収入金額の両方を有する者について、給与所得控除額と公的年金等控除額の合計額が280万円を超える場合、超過分を公的年金等控除額から控除する。
適用時期: R9分以後の所得税。
注意: 給与所得と年金所得を併せ持つ者に影響。年末調整では直接処理しないが、対象者の所得状況の把握に関連する。
青色申告特別控除の見直し
| 区分 | 改正前 | 改正後(R9分〜) |
|---|---|---|
| e-Tax提出あり | 55万円 | 65万円 |
| e-Tax提出 + 電子帳簿保存(一定要件) | 65万円 | 75万円 |
| 簡易簿記(収入1,000万円超は対象外) | 10万円 | 10万円 |
適用時期: R9分以後の所得税。
出典
- 令和7年度税制改正法 附則
- 令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)