提出要件・電子提出
法定調書の提出範囲(どの受給者の分を税務署に提出する必要があるか)と電子提出義務化の要件を記述する。法定調書の全体像については 法定帳票 を参照。
出典:
源泉徴収票の提出範囲
源泉徴収票は 全受給者 に交付する義務があるが、税務署への提出は 提出範囲に該当する者 のみが対象である。
年末調整をした者
| 条件 | 提出範囲 |
|---|---|
| 法人の役員(現在の役員に限らず、年中に役員であった者を含む) | 支払金額 150万円超 |
| 弁護士・司法書士・税理士等 | 支払金額 250万円超 |
| 上記以外の者 | 支払金額 500万円超 |
年末調整をしなかった者
| 条件 | 提出範囲 |
|---|---|
| 給与等の金額が2,000万円超のため年末調整の対象外 | 全員 |
| 法人の役員(現在の役員に限らず、年中に役員であった者を含む) | 支払金額 50万円超 |
| 弁護士・司法書士・税理士等 | 支払金額 250万円超 |
| 上記以外の者で、途中退職者 | 支払金額 250万円超(ただし法人の役員を除く) |
| 上記以外の者 | 支払金額 500万円超 |
提出範囲に該当しない者
提出範囲に該当しない受給者の源泉徴収票は税務署に提出する必要はないが、以下は義務:
- 従業員本人への交付: 全受給者に対して交付義務あり(翌年1月31日まで。退職者は退職後1か月以内)
- 給与支払報告書の市区町村提出: 全受給者について提出義務あり
→ 給与支払報告書については 所得税と住民税 を参照
退職所得の源泉徴収票・特別徴収票の提出範囲
| 提出先 | 対象 |
|---|---|
| 税務署 | 法人の役員に対して支払った退職手当等(受給者全員) |
| 市区町村 | 全受給者 |
法人の役員以外の者に支払った退職手当等については、税務署への源泉徴収票の提出は不要。ただし、市区町村への特別徴収票の提出は全受給者が対象。
→ 退職所得の源泉徴収票の詳細は 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票 を参照
電子提出義務化
義務化の基準
前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が 100枚以上 の場合、その法定調書について電子提出が 義務 となる(所得税法第228条の4)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判定対象 | 法定調書の種類ごとに判定 |
| 判定時期 | 提出年の前々年(例: 令和8年1月提出分は令和6年1月提出分で判定) |
| 枚数の基準 | 100枚以上 |
例: 令和6年1月に「給与所得の源泉徴収票」を120枚提出した事業者は、令和8年1月提出分から電子提出が義務となる。
電子提出の方法
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| e-Tax | 国税電子申告・納税システム。源泉徴収票・合計表等の法定調書を提出 |
| eLTAX | 地方税ポータルシステム。給与支払報告書を提出 |
| 認定クラウド等 | 国税庁が認定したクラウドサービスを利用した提出 |
| 光ディスク等 | CD・DVD 等の記録媒体による提出 |
e-Tax と eLTAX の使い分け
| 提出物 | 提出先 | 提出方法 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票(税務署提出分) | 所轄税務署 | e-Tax |
| 法定調書合計表 | 所轄税務署 | e-Tax |
| 給与支払報告書 | 市区町村 | eLTAX |
| 退職所得の源泉徴収票(税務署分) | 所轄税務署 | e-Tax |
| 退職所得の特別徴収票(市区町村分) | 市区町村 | eLTAX |
電子提出の実務
- e-Tax の利用には 利用者識別番号 の取得と 電子証明書 が必要
- eLTAX の利用には 利用届出 が必要
- e-Tax と eLTAX は別システムであり、それぞれに届出・認証が必要
- 給与支払報告書と源泉徴収票は同一様式だが、提出先(国税/地方税)に応じて別々のシステムで提出する
100枚未満の場合
前々年の提出枚数が100枚未満であっても、電子提出は可能(任意)。書面(紙)での提出も引き続き認められる。中小企業でも業務効率化のために電子提出を選択するケースが増えている。
「提出」と「交付」の違い
| 用語 | 意味 | 対象 |
|---|---|---|
| 提出 | 税務署・市区町村への法定調書の提出 | 提出範囲に該当する者のみ(源泉徴収票の場合) |
| 交付 | 従業員本人への源泉徴収票の交付 | 全受給者(提出範囲に関係なく義務) |
従業員が確定申告を行う場合や、住宅ローン等の手続で源泉徴収票が必要となる場合があるため、交付義務は提出範囲に関係なく全受給者に課されている。