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給与の範囲と非課税給与

年末調整の計算パイプラインにおいて、「給与等の収入金額」に何を含め何を除外するかは計算結果を左右する重要な前提条件である。

出典:


給与等の収入金額に含まれるもの

「給与所得」とは、俸給、給料、賃金、歳費、賞与その他これらの性質を有する給与に基づく所得をいう(所得税法第28条第1項)。

金銭で支給されるもの

項目説明
基本給月給・日給・時給
賞与ボーナス・一時金
各種手当残業手当、休日出勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当 等
通勤手当(非課税限度超過分)限度額を超える部分は課税対象

現物給与(経済的利益)

金銭以外で支給される経済的利益も、原則として給与等の収入金額に含まれる(所得税法第36条)。

現物給与課税の考え方
社宅・寮賃貸料相当額 − 従業員の自己負担額 = 課税対象。ただし自己負担が賃貸料相当額の50%以上なら非課税
食事の支給食事の価額 − 従業員の自己負担額 = 課税対象。ただし自己負担が食事の価額の50%以上 かつ 月3,500円以下なら非課税
商品・製品の値引販売販売価額 − 従業員の購入価額 = 課税対象。ただし値引率が通常の値引範囲内かつ取得価額以上なら非課税
保険料の負担使用者が負担した生命保険料・損害保険料等
レクリエーション社会通念上一般的な範囲なら非課税(社員旅行等)。高額・一部社員のみは課税
永年勤続表彰社会通念上相当なら非課税。現金・商品券は課税
制服・作業服業務上必要なものは非課税。背広等の私用可能品は課税
創業記念品等社会通念上相当(概ね1万円以下)なら非課税

現物給与の評価額は、原則としてその物の通常の販売価額で評価する。


給与等の収入金額に含まれないもの(非課税)

通勤手当の非課税限度額

通勤手当は一定額まで非課税(所得税法第9条第1項第5号、所得税法施行令第20条の2)。非課税限度額を超える部分は給与所得の収入金額に算入する。

交通機関利用者(電車・バス等)

区分非課税限度額
交通機関を利用する場合1か月あたりの合理的な運賃等の額(最高 15万円

「合理的な運賃等の額」とは、最も経済的かつ合理的な経路・方法による通勤定期券などの金額をいう。グリーン車料金は含まない。

自動車・自転車等の交通用具使用者

片道の通勤距離1か月あたりの非課税限度額
2km未満全額課税
2km以上10km未満4,200円
10km以上15km未満7,100円
15km以上25km未満12,900円
25km以上35km未満18,700円
35km以上45km未満24,400円
45km以上55km未満28,000円
55km以上31,600円

交通機関と交通用具の併用者

交通機関の運賃相当額(月15万円限度)+交通用具の非課税限度額の合計額(最高 15万円)。

非課税通勤手当の実務上の取扱い

  • 給与計算において、通勤手当の非課税分は給与収入からあらかじめ除外して源泉徴収を行う
  • 年末調整の「給与等の支払金額」にも非課税通勤手当は含まれない
  • 源泉徴収票の「支払金額」にも含まれない

その他の非課税給与

非課税所得根拠説明
出張旅費所得税法第9条第1項第4号通常必要と認められるもの
転勤に伴う転居費用同上引越費用等の実費相当額
宿日直手当所得税法施行令第21条1回4,000円以下(食事支給時は別途計算)

非課税所得 も参照


給与等と賞与の区分

源泉徴収の方法が異なるため、「給与」と「賞与」の区分が重要。

区分定義源泉徴収方法
給与(月次の支払い)定期的に支払われる俸給、給料等月額表で算出
賞与定期の給与とは別に支払われるもの(期末手当、夏季手当等)賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表で算出

年4回以上の賞与: 毎月の給与と同様に月額表で源泉徴収する。

賞与に対する源泉徴収 参照


年末調整の対象となる給与の範囲

年末調整では、その年の1月1日から12月31日までに支払の確定した給与等が対象となる。

ポイント説明
支給日基準実際に支払われた日ではなく「支払の確定した日」で判定する
未払給与12月分の給与が翌年1月に支払われる場合でも、支払日が12月中に確定していればその年の収入に含む
前職分の合算中途就職者は前職の源泉徴収票に基づき前職の給与を合算する
非課税分の除外通勤手当の非課税分は含まない

年税額計算 のステップ①を参照