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所得

年末調整における所得分類のドメイン用語と計算方法。 所得税法では所得を10種類に分類し、種類ごとに計算方法・課税方式が異なる。


「収入」と「所得」の区別

収入金額

定義: 対価として受け取った金額の総額。源泉徴収される前の金額。 必要経費や控除を差し引く前の「入ってきたお金」。

所得金額

定義: 収入金額から必要経費や各種控除額を差し引いた後の金額。 課税の基礎となる金額。所得の種類ごとに計算方法が異なる。

→ 「収入」と「所得」は異なる概念。年末調整では「所得の見積額」を記入するが、 利用者は「収入」と「所得」を混同しやすい。

注意: この収入→所得の変換に使われる「給与所得控除」「公的年金等控除」は、 所得税法上の「所得控除」(基礎控除、配偶者控除等の16種類)とは別の概念である。 所得控除は所得金額から課税所得金額を算出する段階で適用されるが、 給与所得控除・公的年金等控除は その前段 で収入金額を所得金額に変換する仕組みである。 → 所得控除の分類は 控除 参照


計算パターンの分類

特別控除額

所得の計算過程で収入から差し引く定額の控除(最高50万円)。 該当: 山林所得、譲渡所得(総合課税分)、一時所得。

1/2算入

総所得金額に算入する際に所得金額の半分のみを算入するルール。 該当: 退職所得(原則)、譲渡所得(長期)、一時所得。

重要: 合計所得金額では1/2適用なし、総所得金額では1/2適用あり。 → income-amounts.md 参照

速算表

収入金額に応じて控除額を算出するテーブル。 該当: 給与所得(給与所得控除)、公的年金等の雑所得(公的年金等控除)。

損益通算

赤字の所得を他の所得から差し引くこと。 可能: 不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得。 不可: 雑所得、一時所得、利子所得、配当所得、給与所得、退職所得。


課税方式の分類

総合課税

他の所得と合算して累進税率で課税。 対象: 利子所得(一部)、配当所得(選択時)、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得、譲渡所得(総合課税分)、一時所得。

源泉分離課税

支払時の源泉徴収で課税が完結。確定申告不要・不可。合計所得金額に含めない。 対象: 利子所得(原則)、一部の配当所得、一部の一時所得。

申告分離課税

他の所得と分離して特定の税率で課税。 対象: 退職所得、山林所得、土地建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得、先物取引の雑所得。

→ 源泉分離課税の所得は合計所得金額に含めない。 申告分離課税の所得は合計所得金額に含める。 この違いは配偶者控除等の判定に影響する。


計算パターンの一覧表

パターン該当する所得
特別控除額(最高50万円)山林所得、譲渡所得(総合課税分)、一時所得
1/2を総所得金額に算入退職所得(原則)、譲渡所得(長期)、一時所得
速算表による控除額計算給与所得(給与所得控除)、公的年金等の雑所得(公的年金等控除)
源泉分離課税(確定申告不要)利子所得(原則)、一部の配当所得、一部の一時所得
申告分離課税退職所得、山林所得、土地建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得
損益通算可能不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得
損益通算不可雑所得(赤字を他の所得から控除不可)

合計所得金額の計算における注意点

合計所得金額は単純に各所得を足すだけではない:

  • 長期譲渡所得と一時所得は 1/2適用前の金額 を算入
  • 申告不要を選択した配当所得は合計所得金額に含めない
  • 源泉分離課税の利子所得は合計所得金額に含めない
  • 退職所得は所得税では含める、住民税では源泉徴収済みなら含めない

「合計所得金額」「総所得金額」「総所得金額等」は異なる概念。 詳細は income-amounts.md 参照。