電子的控除証明書
電子的控除証明書は、従来の紙の控除証明書に代えて、XMLデータで保険料等の控除情報をやり取りする仕組み。令和2年(2020年)分から利用可能。
概要
電子的控除証明書は、保険会社・金融機関等が発行する控除証明書を XML形式の電子データ として従業員(納税者)に提供し、そのまま年末調整や確定申告に利用できるようにする制度。
根拠法令: 所得税法施行規則第76条の4等
対象となる証明書の種類
| 証明書 | 発行元 | 対象控除 |
|---|---|---|
| 生命保険料控除証明書 | 生命保険会社 | 生命保険料控除 |
| 地震保険料控除証明書 | 損害保険会社 | 地震保険料控除 |
| 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 | 日本年金機構 | 社会保険料控除 |
| 小規模企業共済等掛金払込証明書 | 中小機構・国民年金基金連合会等 | 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo含む) |
| 住宅借入金等特別控除証明書 | 税務署 | 住宅借入金等特別控除 |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 金融機関 | 住宅借入金等特別控除 |
マイナポータル連携
マイナポータル(政府のオンラインサービス)を通じて、控除証明書の電子データを 一括取得 できる仕組みが整備されている。
仕組み
- 従業員がマイナポータルで 民間送達サービス(e-私書箱等)と連携設定を行う
- 保険会社等がマイナポータル経由で電子的控除証明書(XML)を送付
- 従業員は年末調整時にマイナポータルから証明書データを一括取得
- 取得したXMLデータを年末調整ソフトに取り込む
連携に必要な条件
- マイナンバーカードの取得
- マイナポータルへのログイン
- 各保険会社・金融機関での電子交付設定(事前に「お知らせ通知」等を登録)
現状の普及状況
マイナポータル連携に対応している保険会社・金融機関は段階的に拡大しているが、全社が対応しているわけではない。未対応の場合は従来どおり紙の証明書、または保険会社の Web サイト等から XML をダウンロードして利用する。
国税庁「年調ソフト」との関係
国税庁は無料の年末調整ソフト(年調ソフト)を提供しており、電子的控除証明書の取り込みに対応している。
年調ソフトの位置づけ
| 項目 | 年調ソフト | 民間SaaS(TASHIKAなど) |
|---|---|---|
| 提供元 | 国税庁 | 民間事業者 |
| 費用 | 無料 | 有料 |
| 対象 | 従業員側の控除申告書作成 | 企業側の年末調整業務全体 |
| 電子的控除証明書の取込み | 対応 | 対応(XMLインポート) |
| 申告書の電子提出 | 対応(支払者への電子提出) | 対応 |
| 給与計算・税額計算 | 非対応 | 対応 |
民間SaaSとの棲み分け
- 年調ソフト: 従業員が控除申告書を作成するための「入力ツール」。作成した申告データ(XML)を勤務先に提出するところまでが範囲
- 民間SaaS: 企業側の業務(データ収集・検証・税額計算・源泉徴収票作成・法定調書提出)を一貫して処理する。従業員からの入力UI も提供するため、年調ソフトの機能を包含する
TASHIKAのようなSaaSでは、年調ソフトで作成されたXMLデータを インポート する機能を提供することで、年調ソフト利用者にも対応できる。
XMLデータの技術的な構造
電子的控除証明書のXMLは、国税庁が定めるスキーマに準拠する。
→ XMLの技術仕様は e-Tax XML構造 を参照
データの検証
電子的控除証明書XMLには電子署名が付与されており、以下を検証できる:
- 発行元の真正性: 保険会社等が正規に発行したデータであること
- 改ざんの有無: 発行後にデータが変更されていないこと
紙の証明書との関係
| 項目 | 紙の証明書 | 電子的控除証明書(XML) |
|---|---|---|
| 法的効力 | 原本として有効 | 紙と同等の法的効力 |
| 提出方法 | 申告書に添付して提出 | 電磁的方法で提供 |
| 保管義務 | 支払者が保管 | 電子データとして保管 |
| 会社が未対応の場合 | — | QRコード付PDFに変換して紙で提出可 |
→ QRコード付PDFへの変換については 保険料控除の証明書 を参照