住宅借入金等特別控除
住宅ローンの年末残高に基づく 税額控除。 所得控除ではなく、算出所得税額から直接差し引く点で他の控除と性質が異なる。
所得控除と税額控除の違い
| 所得控除 | 税額控除 | |
|---|---|---|
| 差し引く対象 | 所得金額 | 算出所得税額 |
| 年末調整での対象 | 13種類 | 住宅借入金等特別控除のみ |
年末調整での適用要件
以下の全てを満たす場合に年末調整で適用可能:
- 2年目以降 であること(初年度は確定申告が必要)
- 税務署から交付された 控除申告書兼控除証明書(1枚の用紙に申告書と控除証明書が一体化)を提出済み
- 証明書方式の場合: 金融機関から交付された 年末残高等証明書 を添付
- 合計所得金額 ≤ 2,000万円
調書方式と証明書方式
住宅借入金等特別控除には2つの方式が併存する。
| 調書方式 | 証明書方式 | |
|---|---|---|
| 概要 | 金融機関等が税務署に「年末残高等調書」を提出し、国税当局から所得者本人に「年末残高情報」を提供 | 所得者本人が金融機関等から「年末残高等証明書」を受け取り、勤務先に提出 |
| 適用条件 | 調書方式に対応した金融機関等に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出した人 | 上記以外(従来どおり) |
| 年末残高等証明書 | 添付不要(控除証明書に年末残高情報が記載済み) | 添付必要 |
| 控除証明書の交付時期(電子) | 毎年 11月中旬頃 e-Tax メッセージボックスへ格納 | 毎年 10月頃 e-Tax メッセージボックスへ格納 |
| 控除証明書の交付時期(書面) | 入居2年目の 11月下旬頃 に一括送付 | 入居2年目の 10月下旬頃 に一括送付 |
留意事項:
- 調書方式の場合、控除証明書の左下「住宅借入金等の年末残高に関する事項」欄に年末残高情報が原則記載済み。加えて控除見込額も記載されるため計算の参考にできる
- ただし繰上返済等で実際の年末残高と乖離する可能性がある → 返済計画表等の書類により、所得者自身で実際の年末残高を確認し再計算が必要。控除証明書の年末残高欄が空欄の場合は、金融機関等から交付される住宅ローン返済計画表等を基に年末残高を記載する
- 備考欄に「調書方式に対応する金融機関からの借入れ」の旨を記載
- 調書方式に対応した金融機関等は国税庁ホームページで公開
特定増改築等の場合
バリアフリー改修工事、省エネ改修工事等の特定増改築等に該当する場合は、 通常の住宅借入金等特別控除に代えて、特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。
控除申告書の様式世代
居住開始年により控除申告書の様式が異なる。年末調整では複数世代の様式が混在しうる。
| 居住開始年 | 様式名称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 〜H31/R1 | 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 | Ⓐ/Ⓑ/Ⓒの3区分。③欄に面積・割合(居住用部分の面積割合)。取得対価は家屋と土地等を区分 |
| R2〜R5 | 同上(改訂版) | Ⓐ/Ⓑ/Ⓒ/Ⓓの4区分。④欄に居住用割合。特定取得・特別特定取得の区分あり |
| R6〜 | 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書 | 調書方式対応。控除見込額の記載欄。0.7%控除率。確定申告用の計算明細書と兼用 |
→ 源泉徴収票での控除区分コードの詳細は 源泉徴収票 参照
控除額の計算
基本計算式
控除額 = min(住宅借入金等の年末残高, 借入限度額) × 控除率(年末残高が借入限度額を超える場合は限度額で頭打ち)
居住年と控除率・控除期間
| 居住開始年 | 控除率 | 控除期間 | 借入限度額(新築の場合) |
|---|---|---|---|
| R4〜R7(認定住宅) | 0.7% | 13年 | 4,500万円〜5,000万円 |
| R4〜R7(ZEH水準省エネ住宅) | 0.7% | 13年 | 3,500万円〜4,500万円 |
| R4〜R7(省エネ基準適合住宅) | 0.7% | 13年 | 3,000万円〜4,000万円 |
| R4〜R7(一般の住宅) | 0.7% | 13年 | 2,000万円〜3,000万円 |
| R4〜R7(中古住宅) | 0.7% | 10年 | 2,000万円〜3,000万円 |
注意: 上記は概要であり、居住開始年・住宅の種類・認定区分により借入限度額が異なる。 詳細な年度別テーブルは国税庁の公開情報を参照。
年末残高の算定
連帯債務がある場合
連帯債務による住宅借入金等がある場合、年末残高の全額ではなく自己の負担すべき部分の年末残高を使う。
控除対象の年末残高 = 住宅借入金等の年末残高 × あなたの負担すべき割合負担割合は原則として確定申告時の計算明細書④欄の値による。
借換えを行った場合
住宅借入金等の借換えをした場合で、借換えによる新たな借入金の当初金額が借換え直前の残高を上回っているときは、以下の按分計算を行う:
控除対象の年末残高 = 本年の年末残高 × (借換え直前の当初住宅借入金等残高 / 借換えによる新たな住宅借入金等の当初金額)(新たな借入金が一定の要件を満たすものに限る)
居住用割合(面積按分)
住宅の一部を事業用等に使用している場合、居住用部分の面積割合を乗じて控除対象額を算出する。
端数処理: 割合は小数点以下第4位まで算出し、第4位を切り上げ。ただし90%以上の場合は**100%**とみなす。
④ = ③ × 居住用割合(切り上げ後)
⑤ = min(④, 借入限度額)
控除額 = ⑤ × 控除率重複適用(2以上の住宅取得等)
2以上の住宅取得等に係る住宅借入金等がある場合:
- 控除申告書を住宅の取得等ごとに作成(重複適用1枚目・2枚目)
- 各控除額を合計し、重複適用1枚目の「重複適用を受ける場合の控除額」欄に記入
- 源泉徴収票では1回目・2回目の2枠に記載。3回目以降は摘要欄
→ 源泉徴収票での記載方法の詳細は 源泉徴収票 参照
年税額計算での位置づけ
算出所得税額
− 住宅借入金等特別控除額
= 年調所得税額(≥ 0)控除しきれない場合:
- 年調所得税額は 0 円(マイナスにはならない)
- 控除しきれなかった残額は、翌年度の 住民税 から控除される仕組みがある(上限あり)
- → 住民税からの控除限度額・計算方法は 所得税と住民税 参照